船は、鉄板でつくられています。大型の貨物船やタンカーの重さは、荷物をつんでいない時で2〜4万トン、荷物をつむと20〜30万トン以上。数字を見るととっても重いのになぜ、船はしずまないのでしょうか。それは、船よりも海水のほうが重いから。船は大きさのわりに海水とくらべると軽いので、海水が船をおし上げる力(浮力)のほうが大きくなり、うくことができます。
ちなみに、船の底が平べったいのは海水中にしずむ体積を大きくすることで、「うく力」をさらに大きくするためなんです。
佐賀のスゴい工場を探検しよう!
名村造船所は、世界最大級のタンカーや貨物船をつくっている会社です。名村造船所がつくる船は、石油やエネルギー資源、食料など、みなさんが生活するためになくてはならないものを運んでいます。船づくりは、2,000人の人がかかわり、およそ3年の時間と10万点以上の部品を必要とする超巨大プロジェクト。ここでは、船がつくられる工程やヒミツを紹介します!
製造のながれ
ここだけの情報
船は、鉄板でつくられています。大型の貨物船やタンカーの重さは、荷物をつんでいない時で2〜4万トン、荷物をつむと20〜30万トン以上。数字を見るととっても重いのになぜ、船はしずまないのでしょうか。それは、船よりも海水のほうが重いから。船は大きさのわりに海水とくらべると軽いので、海水が船をおし上げる力(浮力)のほうが大きくなり、うくことができます。
ちなみに、船の底が平べったいのは海水中にしずむ体積を大きくすることで、「うく力」をさらに大きくするためなんです。
船が海の上で、安全に長い距離を進むために必要なのが「バラスト水」。荷物をのせていない時、船はうきやすく、横からの波や風に対して、とても不安定な状態です。そこで、船を安定させるために、「重し」として船の中に入れるのが「バラスト水」。「バラスト水」は、出発場所の海水を船の中につみこんだものをいいます。目的地の港に到着し、船に荷物をのせるときに、バラスト水は、海に放出されます。
また、船には石油などをつみこむこともあるため、石油をかこむようにバラスト水を入れるタンクをおいて、万が一衝突事故が起きた時に石油ではなく、水だけが外にもれるように船をつくっています。
バラスト水を放出するときに気をつけないといけないのが、出発した港の海水にふくまれる微生物やプランクトン。目的地の港に生息していない生き物が海に放出されると、その海の環境をこわすことにつながります。だから、バラスト水をつみこむときは、薬品や紫外線で微生物を殺し、目的地の港にもともといなかった生き物を海に流さないよう工夫しています。
大きい船ほどバラスト水がたくさん必要です。全長340mの船には、10万トンほどのバラスト水をつみこみます。
働く人へのインタビュー
日本の貿易でやりとりされる「モノ」の99.5%は船が運んでいます。毎日、たくさんの船が世界中の海を走っており、日本は世界の中でもたくさんの船を持っている国の一つです。名村造船所では毎月1隻ほど、船を完成させ、お客さま(企業)にわたしています。
船づくりは、とても大きなプロジェクトで、設計、溶接(鉄板をくっつける作業)、組立とそれぞれのチームに分かれて仕事をしています。わたしは、その中でも設計を担当しています。設計は船づくりの一番はじめのステップで、その後の工程にも大きな影響があります。ときには、組み立てを行う職人さんにも相談しながら進めていきます。とても大きな船をたくさんの人の手で作っていくので、船づくりでは、チームワークが何よりも大切です。みんなで協力しながら、大きな船をつくっていきます。実際に、自分たちが作った船が動く瞬間を見る時は、とても感動し、やりがいを感じます。
さらに、船づくりで大切にしていることは、船がこわれず安全に走れること。安全に確実に「モノ」が運べないと、わたしたちの生活に欠かせない電気やガスが使えなくなったり、小麦粉でつくったパンやパスタなどが食べられなくなったりします。みなさんの生活を守るため、わたしたちは広い海を航海できる強く丈夫な船をつくっているんです。
いま、名村造船所では、安全な船をつくるだけでなく、環境にやさしい燃料やエネルギーで動く船づくりに力をいれています。みなさんの生活を支えるだけでなく、地球環境も守れるような新しい船づくりにチャレンジしていきます。
みなさんが大人になるころには、水素や電気で動く船が世界中の海を走っているかもしれませんね。